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認知症の初期サインと在宅の支え

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「年のせい」で見過ごさないで

「川崎在宅医療相談室」をご覧の皆様、こんにちは。
小野田医院、院長の小野田です。

「最近、親の様子が少し違う気がする」。同じことを何度も聞く、約束を忘れる、日付があやふや——そんな小さな変化に、どう向き合えばよいか戸惑っておられるご家族は少なくありません。

年相応のもの忘れなのか、それとも認知症のサインなのか。今回は、その見分け方と、ご家庭でできる支え、そして医療につなぐタイミングについて、できるだけやさしくお話しします。

こんなお悩みを抱えていませんか?

  • 最近、同じことを何度も聞き返すようになった気がする
  • 「年のせいのもの忘れ」なのか、受診すべきなのか分からない
  • 日付や予定をよく忘れるようになり、不安を感じている
  • 本人にどう声をかければいいのか、いつも迷ってしまう
  • どこに相談すればいいのか分からず、一人で抱えている

1「年相応のもの忘れ」と「認知症のサイン」は、どう違うのか

だれでも歳を重ねると、もの忘れは増えていきます。人の名前や物の名前がとっさに出てこない、俳優さんの顔は分かるのに名前が思い出せない——こうしたもの忘れは、年齢とともに自然におこる生理的なもので、多くの場合は後で思い出せたり、別の機会にはきちんと話せたりします。忘れたこと自体に本人がはっきり気づいていて、日々の生活に大きな支障が出ないのも特徴です。

一方で、気をつけたいもの忘れもあります。物の名前が出てこないだけでなく、「自分が体験したこと自体」がまるごと抜け落ちてしまう。今日が何月何日か、季節や曜日があいまいになる(時間の見当識)、今いる場所が分からなくなる(場所の見当識)。さらに、買い物や料理のように、段取りを立てて進める作業が難しくなってくる——こうしたサインは、生理的なもの忘れとは質が異なります。もの忘れに対する自覚が薄れ、「できない」ことを「やらないだけ」と言ったり、うまくいかないことに言いわけが増えたりすることもあります。こうした変化に気づいたら、早めに医療機関へご相談いただくことをおすすめします。

見分けるポイント

年相応のもの忘れ

  • 人や物の名前がとっさに出てこない
  • 後で思い出せる、別の機会には話せる
  • 忘れたことを本人が自覚している
  • 日々の生活に大きな支障はない

気をつけたいサイン

  • 体験したこと自体がまるごと抜け落ちる
  • 日付・季節・曜日や、今いる場所があいまいになる
  • 買い物や料理など、段取りが必要な作業が難しくなる
  • もの忘れの自覚が薄れ、言いわけが増える

2ご家庭で気づく初期のサインと、責めない関わり方

初期のサインは、日常の何気ない場面にあらわれます。「さっき言ったことをまた聞く」「同じものを何度も買ってくる」「慣れた料理の手順が組み立てられない」「しまい忘れた物を『盗られた』と感じる」。ご家族にとっては心配で、つい「さっきも言ったでしょう」と正したくなるものです。

けれども、ここでいちばんお伝えしたいことがあります。不安や戸惑いを、いちばん強く感じているのはご本人だということです。以前はできていたことがうまくいかない——その心細さの中で、強く責められると、かえって心を閉ざしたり、受診をためらったりすることにつながりかねません。まちがいを一つひとつ訂正するより、「大丈夫だよ」と穏やかに受けとめ、さりげなく手を添える。日々の会話を少し増やして、変化に早く気づける関係を保っておく。それだけでも、ご本人の安心と、その後の対応のしやすさは大きく変わってきます。

3在宅でできる支えと、医療につなぐタイミング

認知症は、今のところ完全に治す方法が確立された病気ではありませんが、早めに気づいて適切に対応することで、進行のスピードや暮らしやすさに違いが出てくると考えられています。だからこそ、「気になったら、早めに相談する」ことが何より大切です。

ご家庭でできる支えとしては、日付や予定が目に入るよう工夫する、火の元やお薬の管理をさりげなく手伝う、生活のリズムを整える、といった小さな積み重ねが力になります。

とはいえ、ご家族だけで抱え込む必要はありません。訪問診療では、医師が定期的にご自宅へ伺い、体調やお薬、生活の様子を継続的に見守ります。定期的に会うからこそ、ちょっとした変化にも気づきやすく、ご家族の介護の負担についても一緒に考えていくことができます。「これは受診したほうがよいのか」「どこに相談すればいいのか」——迷われたときこそ、専門職にお声がけください。判断を一人で背負わずにすむことが、ご本人にとってもご家族にとっても、大きな安心になります。

執筆・文責

小野田医院 院長 小野田恵一郎

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