費用の目安と高額療養費制度
「川崎在宅医療相談室」をご覧の皆様、こんにちは。
小野田医院、院長の小野田です。
在宅医療をご検討される中で、いちばん多くいただくご心配が「いったい、いくらかかるのだろう」というお金の不安です。医療のことは大切だと分かっていても、費用の見通しが立たないと、なかなか一歩を踏み出せないものですよね。
今回は、訪問診療にかかる費用のおおよその目安と、負担を軽くしてくれる制度について、できるだけやさしくご説明します。
1費用が心配で一歩踏み出せない——まずは全体像から
まず、いちばんお伝えしたい安心材料があります。訪問診療は、病院やクリニックへの通院と同じように公的医療保険が使えます。つまり、かかった医療費の全額を負担するわけではなく、年齢や所得に応じて1割から3割の自己負担で受けられる医療です。「自宅まで来てもらうと、その分すごく高くなるのでは」と身構えてしまう方は多いのですが、実際には、通院にかかる交通費やタクシー代、付き添うご家族の時間や負担まで含めて考えると、必ずしも割高とは言い切れません。
とはいえ、「だいたいの目安」が分からないままでは不安が消えないのも当然です。次に、費用がどんな要素の組み合わせで決まるのかを見ていきましょう。
2訪問診療の費用は、どんな内訳になっているのか
在宅医療の費用は、大きく分けていくつかの要素の組み合わせでできています。ひとつは、医師が定期的にご自宅へ伺う「訪問診療料」。もうひとつは、計画的・継続的に健康管理を行うための「在宅時医学総合管理料」です。これは、月に2回ほどの定期訪問と、急なときのご相談・往診に備える体制などをまとめて支える費用だとお考えください。これらに加えて、お薬代(多くは調剤薬局からの別途ご請求になります)、そして介護保険をお使いの場合は、ケアマネジャーさんなどとの連携にかかる費用などが加わることがあります。
おおよその目安として、月2回の定期訪問を受けた場合の1か月の自己負担額は、1割負担の方でおよそ7,000円前後、2割負担の方で14,000円前後、3割負担の方で20,000円前後、といった水準がひとつの目安になります。ただし、これはあくまで一般的な目安です。検査や処置を行った場合、夜間などに緊急の往診があった場合には、その都度費用が加わります。また、診療報酬の改定や、ご加入の保険の種類、お一人おひとりのご病状によっても金額は変わります。ですので、「我が家の場合はいくらになるのか」は、必ず個別にご確認いただくのが安心です。
1か月の自己負担の目安(月2回の定期訪問の場合)
- 1割負担の方
- 7,000円前後
- 2割負担の方
- 14,000円前後
- 3割負担の方
- 20,000円前後
※検査・処置や、夜間などの緊急往診があった場合はその都度加わります。ご加入の保険やご病状によっても変わります。
3負担を軽くする「高額療養費制度」という仕組み
費用のお話で、ぜひ知っておいていただきたい制度があります。それが「高額療養費制度」です。これは、1か月にかかった医療費の自己負担が一定の上限を超えたとき、その超えた分が後から払い戻される仕組みです。上限額は年齢や所得に応じて決められており、在宅医療を続けていく中で医療費がかさんだ場合でも、負担が青天井にならないよう支えてくれます。
さらに、あらかじめ「限度額適用認定証」を用意しておくと、窓口でのお支払いを最初から上限額までに抑えることができます。いったん全額を立て替えて後で払い戻しを待つ、という負担が減るので、こちらも早めのご準備をおすすめします。加えて、医療と介護の両方のサービスをお使いのご家庭では、1年間の医療・介護の自己負担を合算して負担を軽くする制度もあります。
このように、在宅医療には費用がかかる一方で、それを支える制度もいくつも用意されています。「思っていたより抑えられた」とおっしゃるご家庭が多いのも、こうした制度があるからです。とはいえ、どの制度がどのように使えるかは、お一人おひとりの状況によって異なります。書類の準備や申請の窓口も含めて、分からないところは遠慮なくご相談ください。
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