このような症状は高血圧症を発症する可能性があります
- 肩凝り
- 頭重感
- めまい
- 動悸、息切れ
高血圧症の初期には自覚症状がほとんどありません。健康診断などで高血圧症と診断されたとしても、目立つような症状は現れずに、水面下で進行していくのが特徴です。
上記のような症状が出ている場合は、動脈硬化や臓器障害がすでに進行してしまっている可能性があります。高血圧症を放置する事で、血管の壁に恒常的に力(圧力)がかかっている状態となってしまうため、血管が硬くなります(動脈硬化)。
その結果、脳梗塞や脳出血・心筋梗塞・慢性腎臓病といった重大な疾患になる確率が2~5倍高くなります。自覚症状がないため異変に気づくためには、血圧測定や検査が必須です。
高血圧症とは
収縮期血圧が140mmHg以上あるいは拡張期血圧が90mmHg以上を高血圧といいます。血圧が高くなればなるほど、脳卒中、心臓病、慢性腎臓病などになり障害を残したり、死亡するリスクが高くなります。
本邦における高血圧に起因する死亡者数は年間約10万人と推定され、喫煙に次いで多いです。心血管病死亡の約50%、脳卒中罹患の50%以上が、高血圧が原因といわれています。
対策としては塩分を控えることと、肥満にならないようにすることですが、高血圧症の30~70%が遺伝的体質の影響を受けているといわれていますので、それだけでは不十分なことも多いです。
高血圧症の原因
高血圧症には二つの原因があるとされています。
①二次性高血圧=原因が明確な高血圧
内分泌の異常や腎臓疾患、心臓や血管の異常、睡眠時無呼吸症候群などにより起こります。病気としては腎実質性高血圧・腎血管性高血圧・原発性アルドステロン症などが高血圧の原因になります。
②本態性高血圧=様々な原因が組み合わされて発症する高血圧
体質的な原因や他の様々な要因が合わさって発症します。体質的な原因というのは、親が高血圧であるというような遺伝的な要素のことになります。この高血圧は、
- 塩分過多
- 運動不足
- 喫煙
- 度を越した飲酒
- ストレスや加齢
というような要因が加わることで引き起こされてしまいます。肥満も同様に原因になります。肥満になることで血圧をコントロールしているホルモンや自律神経の働きが乱されて血圧が上昇することもあります。高血圧の90%は本態性高血圧に分類されると言われています。
高血圧症が引き起こす合併症について
【脳梗塞・脳出血】
脳梗塞は脳の血管が何らかの原因で詰まってしまうことで、血が流れなくなり脳の細胞の一部が壊死してしまう病気です。脳出血は高血圧や血管の脆弱性により脳の血管が破裂して脳を圧迫します。対策が遅れれば麻痺や高次脳機能障害など重篤な後遺症をきたし、命に関わることもあります。
【心筋梗塞】
心臓の筋肉(心筋)に栄養や酸素を送る血管(冠動脈)の動脈硬化によって引き起こされる病気で、心臓の働きが著しく低下し、生命にかかわることがあります。高血圧症の方が心筋梗塞を起こす危険度は、健康な人の2倍以上といわれています。
症状としては、胸が締めつけられるような強い痛みがあらわれますが、高齢者でははっきりした症状がみられないことがあるため、心電図による検査を定期的に受けましょう。また、息切れしやすい、脈が途切れる、体がむくむなどの症状は、心筋梗塞の前触れの可能性があります。
【慢性腎臓病(CKD)】
腎臓の働き(GFR)が健康な人の60%以下に低下する(GFRが60mℓ/分/1.73㎡未満)か、あるいはタンパク尿が出るといった腎臓の異常が続く状態を言います。放置すると進行し、腎機能の回復は見込めず、高度な腎機能低下の場合、多くは末期腎不全(腎臓のろ過能力が15%未満)へと進行し、生命に危険をきたします。そして最終的には、透析や腎移植をする必要が出てきます。
治療
治療は大きく分けて下記の3つを組み合わせます。目的は正常な血圧を維持しコントロールすることです。
- 食事療法
- 運動療法
- 内服治療
目標とする血圧は年齢や合併症によって異なります。65歳以上、喫煙、脂質異常症、肥満、メタボリックシンドローム、若年発症の心血管病家族歴、糖尿病、脳卒中、心臓病、腎臓病、動脈硬化、高血圧性網膜症などを患っている方は高危険群です。これらがある場合は障害が残ったり、命にかかわる合併症が急に生じることもあるので早期の降圧薬治療が望ましいです。
また治療と予防はほぼイコールで、ある程度血圧が下がってきたとしても引き続き生活習慣の見直しは重要になります。食事なら、例えば一日の塩分量を6gに抑え、果物や野菜を積極的に摂取するなど食事と運動を並行して行うことが大切になります。
高血圧症が疑われる方は当院へ
高血圧症は症状が出てきてからでは、脳卒中や心臓病が起こりやすい状態である可能性が高いです。もし普段の生活習慣に思い当たる節があり、遺伝的に発症している可能性が高いと思われる方は一度当院での受診をお勧めいたします。医師が丁寧にご説明いたします。