こんな症状や状況はありませんか?
- 健康診断や定期検診で、便潜血検査の結果が「陽性」と指摘された
- 便に微量の血液が混じっていると報告された
- 検査を複数回行い、1回でも陽性結果が出た
※定期検診は、消化管の異常を早期に発見するための大切な機会です。特に便潜血検査は、大腸がんを早期に発見するための検査として広く活用されています。
便潜血陽性とは
便潜血陽性とは、肉眼では確認できない微量の血液が便中に混ざっている状態を示します。
この検査は、便に含まれる血液を調べることで、消化管の(主に大腸の)どこかで出血が起こっている可能性を示唆します。
出血の原因としては、大腸がんや大腸ポリープ、消化性潰瘍、痔など、さまざまな疾患が考えられます。
※検査方法は一般的に、2日分の便を採取する「2回法」で実施され、採取方法やタイミングが検査精度に大きく影響します。
便潜血陽性の重要性と注意点
- 便潜血検査で陽性となった場合、たとえ一度だけの陽性結果でも、軽視せずに速やかに精密検査を受ける必要があります。
- 陽性結果は、消化管のどこかで出血が起こっている重要なサインです。実際、陽性者のうち、痔が原因となっているケースが最も多いものの、約30~40%に大腸ポリープが認められ、数%は大腸がんという結果が報告されています。
- 「もう一度便潜血検査をして陰性なら安心」とする考えは、日本消化器がん検診学会のガイドラインでも禁じられており、必ず内視鏡検査(大腸カメラ検査)を受診することが推奨されます。
どんな危険があるか
- 便潜血陽性は、消化管内での出血を示すため、大腸がんのリスクをはじめとする重大な疾患の早期発見につながります。
- 大腸がんは初期には自覚症状が乏しいため、症状が現れた時には進行している場合が多いです。
- また、便潜血検査では初期の大腸がんや前がん病変(大腸ポリープ)が陰性となるケースもあるため、特に40歳以降は定期的な内視鏡検査の受診が不可欠です。
便潜血検査の役割と対策
- 便潜血検査は、大腸がんの早期発見のための検査として、何万人規模で実施される中で、早期の疾患発見に大きな意味があります。
- 検査で陽性が出た場合は、出血の原因特定のために内視鏡検査(大腸カメラ検査)を受けることが必要です。
内視鏡検査では、消化管の粘膜を直接観察し、疑わしい病変があればその場で組織採取(生検)や切除を行うことができます。 - なお、便潜血検査の結果が陽性の場合、「痔による出血」と誤解されがちですが、痔の出血は通常、便の表面に付着するのみで便に練り込まれることは少ないと報告されています。
- 検査結果にかかわらず、正確な診断と適切な治療のために、内視鏡検査を受けることが最も重要です。
血便の色や状態についての補足
- 血便は、肉眼で確認できるもの(鮮やかな赤色、暗赤色、黒色便)と、便潜血検査で検出される微量の血液に分類されます。
血便の色や状態からは、出血部位の推定が可能です。
例えば、鮮やかな赤色は肛門や直腸から、暗赤色は大腸の奥部や小腸から、黒色便は上部消化管(胃、十二指腸)からの出血が疑われます。
ただし、便潜血検査はあくまで微量の出血を検出するためのものであり、これらの情報は参考値として捉えてください。